東京ゲームショウ

私はゲームショウに行っていません。行ってませんし家庭用ゲームはまったくしないのですが、一応業界には関心があります。K氏が行ったらしくそのレポを聞いただけですが、PS3とレボリューションの方向性の違いがはっきりしていたらしいので何か書き残しておこうと思います。PS3もレボリューションも家庭用ゲーム機の次世代機として発表されているもので、PS3は現在発売されているソニーPS2の後継機、レボリューションは任天堂から出る予定のゲーム機です。
PS3は前々から報道されているとおり、ものすごく映像がきれいだったということでした。ほとんど実写と遜色なく人の毛穴まで見えそうだとK氏は驚いていました。次世代DVDも搭載するという話なので映像に関しては最高の出来でしょう。しかし、きれいなのはいいとしてもこれでは今まで散々言われてきた問題が何一つ解消されていないようです。映像がきれいなのはわかったから中身を充実させてくれ、これは何年間言われてきたんでしょうか?きれいな映像を作るということはそれだけ制作費もかさむということで、作りこまれたゲームであったり人気のあった作品の続編だとか、自ずと大作しか出せないようになってしまうのですが、もちろん出て行ったお金は売り上げとして回収していかねばなりませんから、これでは自由に発想してもその生かし方が難しく面白いゲームをクリエイトするなんて出来るわけがありません。どんどんどつぼにはまってがんじがらめになっている印象です。
一方、レボリューションはコントローラーが特徴的でテレビのリモコンのような細長い形をしているらしく、それをフライパンの柄や太鼓のバチに見立てて振るような形でゲーム中では操作するということでした。ゲームに馴染みのない層を取り込もうというのはDSのときも見て取れましたが、引き続き同じ路線で売り込みをかけるみたいです。DSの調子いいですしね。
もともとゲームというのは片手間には出来ないものです。気軽にゲームを楽しんでみたくても、ちょっと楽しめるようになるまででさえ結構時間がかかるのです。例えばRPGだとフィールドの歩き方、各コマンドの意味、敵の倒し方、装備の仕方、キャラ強化や話の展開の仕方など、やり始めると覚えるべきことが多い割りには、それはまだスタートラインに立ったに過ぎません。ここを越えても、内容にはそれなりに厚みがありますからゲームにおける達成感とか充実感を得るにはその何十倍の時間と手間が必要となります。このような現実があるのに、時間つぶし程度に考えている人、ライトユーザーたちがどこまで本気になれるのかというのは甚だ疑問が残るところで、何本かゲームを買ってやってみたけれど本当の面白さを味わう前にやめてしまう人は多いと思います。結局はいわゆるヲタというか、コアな人たちがユーザーとして残りゲームを買ってやり続けていくという構図になっています。
PS、PS2の出荷台数から考えるとゲームをしてみたいという人は相当数にのぼるはずです。ゲーム機自体の一般への浸透は成功したのでしょう。しかし、ゲームの売り上げが頭打ちになっている現実を見ると、上で述べたように初心者に対して壁というのは存在しているでしょうし、業界を実質的に支えているコアユーザーたちもどこかうんざりしているところがあるようです。今以上の市場拡大を望むなら、別のアプローチが必要になってくるはずです。
それでは、単純にこれまでの逆を考えて操作が簡単で楽しんだ気になれるゲームを売り込んでいくというのは、実は大事なポイントになりそうです。過去に売れたゲームだとダンスダンスレボリューションDDR)はいい例でしょう。必要な操作として画面の指示に合わせてパネルを踏むだけでよくて、それだけで楽しかったのを覚えています。初めてやって楽しさを得られるというのは人の心を掴む上で大事な要素です。慣れてくるとダンサーのようにステップを踏めてる感覚になり、これがまた気持ちいい。普段の自分が出来ないことがゲームで体感できる楽しさ、これも大事なポイントです。子供の頃に遊んだおままごととか泥警とかに通じるところがあり、ゲーム、というか遊びの原点のひとつと考えてもいいでしょう。
レボリューションは、基本のコントローラーを指先の動きではなく人間の動きそれ自体を伝えるものにしたことがミソです。初めからこう定めてしまえば、まず操作が簡単だということをアピールできるのは前述の例からも分かると思います。それ以外のこととしてゲーム会社はそれに即したゲームを作ることを強制されるわけですが、操作法も目新しい分いろいろな発想のゲームが世に出てきそうです。つまり新しい遊びの提案がどんどんなされるわけで、従来のゲームに辟易してしまったライトユーザー層を再び取り込めるだろうし、ひいてはゲームソフトも続けて買ってもらうことが可能になるはずです。冷え込んだゲーム市場を活性化に導く希望の星となるでしょう。
PSの方も昔は音声認識のコントローラーを使ったゲームを出していたそうなんですが、売れ行きはよくなかったようです。別売りの専用コントローラーにしてしまうとこれを買う人の数は自ずと限られてしまいますし、それに伴いゲームの売り上げも少なくなります。それなりに新しい試みはしているものの、次世代機に活かせなかったところが悲しいところです。結果が出たものだけ残すというのは企業としては当然なのですが、これとエンターテイメントの創造とを結び付けて何がどうなるんだという感じはします。難しいですね。
さて、一方は映像の美しさに、一方は遊び方にその成長の伸びしろを求めたわけですが、今こうして考察してきてもどちらが駄目とかいいとかは断言できないんですね。きれいな映像を望んだのも手軽さを望んだのも同じユーザーであって、それぞれの棲み分けが成っていればそれでいいのではないかなと。今発売されている携帯ゲーム機のPSPとDSの関係は今回取り上げた次世代機の構図とそっくりなのですが、これらの売り上げの動向を聞く限りだと任天堂が一歩先じているような感じです・・・糞ニーから脱却はなるか?