blogの力

建築物の強度偽装問題はその真相が見えないまま時間だけが経っている気がしないでもないですが、私個人として把握できているのは結局、新聞の一面だったりテレビのニュースで取り上げられている程度のものです。当事者でもないのに、あんなに人間の汚い思惑が入り混じった事の経緯を読み解いていくのは、すごく疲れるだろうというのは目に見えているし、またそこである程度の推測が立てられたとしても、1次情報が手に入れられない故にそれ以上の追求は無理だというのも、こういう姿勢を取っている理由になっています。

この問題に関連して、ここ2,3日ネット上では「きっこの日記」(もしくは「きっこのブログ」)が話題になっています。なんでも、この日記を書いておられるきっこ女史は人脈から得ることの出来た裏の情報が持っていらっしゃるようで、これを自分の日記で公表することによってネットからムーブメントを起こしてこの問題の裏でうごめく政治家、官僚その他巨大権力を持つ人たちを摘発したいそうです。その内容は、この問題の当事者の一人、イーホームズの藤田社長が食いついてきたほどです。まあ詳しくはググるなり何なりして確認していただきたいと思います。

しかし、ここで私は気になりました。

裏情報であるということは、周囲に隠さなければならない理由があるからこそ裏情報なのであって、それが表に出てきたときの破壊力は相当なものです。故に、明るみに出るようなら当事者側は必死にもみ消しに走るでしょうし、またリークする側はその情報を以って相手を一瞬にして葬るくらいでなければなりません。でなければ狙われる立場になりますし、その力が大きいほどに危険な状況に置かれるでしょう。日記が書かれて2,3日経っていますが、何の音沙汰もないのは、失敗に終わったのか、それとも全く意味のない行動だったのか、どちらでしょうね。

きっこ女史が相手にしているのは、いうなれば国家です。めちゃめちゃでかい力です。その力に対抗しうる、自分の身を守る盾として、ネット、ひいては国民の関心を掲げているようですが、果たしてネットはそこまでの力を持ち得るのか、少々疑問であります。

例えば、ネットの最大勢力とされている2ちゃんねらーですが、その行動原理はどこまでも自分に置かれています。例ののまネコ問題も、その行動の根本は、2ちゃんねるという自分たちの安住の地に現れたエイベックスというわけの分からない脅威を排除しようとしただけですし、またよくあるブログの炎上(ブログ荒らしが大量に流入してきて立ちゆかなくなる)というのも、そのブログの内容の痛さを楽しむのもそうですが炎上自体を楽しんでいるわけで、それでブログが停止しようが全くお構いなしです。もちろん、のまネコのときもそういう要素は孕んでいましたが。つまり、まずは即座に楽しめる娯楽を求めているのであって、しかしそれを邪魔するようなら徹底交戦するというのが基本スタンスなわけです。多少、問題意識の強い方々が2ちゃん外でも周知させようとマスメディアをはじめとして働きかけを行うこともありますが、それで大々的にメディアで扱われているなんて、ほとんどの扱われた問題が小さかったというのもありますが、のまネコ以外では見たことがないです。ちなみに電車男の場合は、あくまで表向きの話ですがある編集者のおかげで世に出たというべきで、それは直接的な2ちゃんねらーの力とは言えないと考えています。

このようにのまネコ問題はあくまで何百万という2ちゃんねらーの自分たちの権利の主張から事が大きくなっただけで、果たして今回の耐震偽装問題でどれだけの人が動くのか、2ちゃん的な即興性のある面白さもなく時間のかかることを根気よく煮詰めていくのかどうか、疑問であるというわけです。

また、有名なブログをいくつか回りましたが、多くの管理人さんはきっこ女史の日記をいぶかしんで見ているところがあり、この点からもどれだけの人が動くのかが怪しく感じられるわけです。

とりあえず私としては、静観する以外の選択肢は持ち得ないわけですが、本当に自民党議員その他が逮捕されるような事態になれば、それは我々はまさに、一つの時代の終焉と始まりを体験したということでそれはそれで面白いかなと。

まあ、当事者の一人が痛いブログでもやってりゃすぐに流れは加速するだろうけどねw


☆追記
この文章を読み返すと、なんだか2ちゃんねるを一般化して結論付けてしまってる感が否めませんが、ただ、まともに社会生活を営んでる人の中でネット上の事象をちゃんと受け止めて、考えて、そして動ける人って相当限られると思うんですよ。ネットから世の中へ発議がなされるとすれば、たとえそれが冷やかしから始まろうが、ねらーの存在は無視できないという感じがしています。